ホワイツにオーダーしていたブーツ、ミリタリーポリス・シャーマン(MP Sherman)が届きました。仕事中も、「帰ったらホワイツあるもんね」と励みにできるほど、気に入っています。まだ履きおろしていませんが、購入レビューをしていきます。
ホワイツとは
Image: White’s Boots
White’s Bootsはエドワード・ホワイトによって、南北戦争前の1853年に始まったブーツメーカーです。創業当初は東海岸のコネチカット州にあり、1902年にアイダホ州、1915年に今のワシントン州スポケーンに移りました。当時、太平洋北西部は森林、鉱山、工場で働く労働者が多く集まっており、彼らに向けたブーツを作っていました。ホワイツの代名詞でもある、土踏まずを支えるアーチイーズが生まれたのはこの頃です。
Image: White’s Boots
20世紀にホワイツは、スモークジャンパーと呼ばれるブーツを開発しました。森林火災時に、初期消火を行うために飛行機からパラシュートで降下する森林火災消防士向けのブーツで、今ではホワイツを代表する1足になっています。
アーチイーズがに加えてホワイツを一線を画すものにしているのは、ハンドソーンステッチダウン製法です。手で縫っていくので技術と手間ががかかりますが、ホワイツによると、グッドイヤーウェルトのような一般的な製法と比べて耐久性が高く、完全に作り直すことが可能だそうです。
この工程は、Youtubeだと2:00ぐらいから始まります。めちゃくちゃかっこいいです…。この映像と自分のブーツを見比べながら、缶チューハイ飲むのが最高です。
マイ・MPシャーマン
ドレスとワークの間ぐらいの、シュッとした見た目のブーツにしたくて、ベースはMPシャーマンを選びました。MPは、第二次世界大戦のアメリカ軍の歩兵用ブーツをモデルとしています。ホワイツには既製のMPシャーマンもありますが、細かく仕様を指定してカスタマイズすることも可能です。もちろん私もカスタマイズしました。
茶色のブーツはアイアンレンジャーを持っていますので、黒にすることにしました。黒のブーツと言えば、レッドウイング「ベックマン・フラットボックス」に憧れがあります。そこで、フラットボックスの上位互換のようなブーツを目指すことにしました。
クロムエクセルレザー ブラック
革は、シカゴの有名なホーウィン社のクロムエクセルにしました。茶芯の柔らかいオイルレザーで、足に馴染みつつも経年変化が期待できます。部位ごとに複数の種類の革を選択することもできますが、落ち着いた見た目になるように1種類です。
糸の色は「標準/工場任せ」を選んだところ、黒になりました。
MPラスト
木型はMP用の、MPラストです。ホワイツ特有のアーチイーズが抑えめで、トゥが薄いという特徴があります。上から見たときの形がビジネスシューズのようで、丸いトゥよりも適度にシュッとしている方が好みの私にはピッタリです。トゥが思ったよりも薄かったので、経年変化したときの沈み込みにどの程度影響するか気になります。
アイレットとスピードフック
アイレットは、脱ぎ履きのしやすさを優先して、スピードフックとの組み合わせにしました。色はアンティークで、目立ちすぎずいいアクセントになっています。
トゥキャップと先芯無し
フラットボックスを意識して、トゥキャップも先芯も無しとしました。ここがどう変化していくか、楽しみです。
白い糸によってソールとウェルトが縫い合わされており、その内側のアッパーの下にも糸があります。それが、アッパーとウェルトを手縫いした部分と思われます。
ダイナイトソール
ソールはイギリスのダイナイトソールです。薄く硬いゴムのソールで、側面がギザギザしていないので、ドレッシーな見た目になります。歩いたときにレザーソールのようにカツカツ音がするのも好きです。トレーディングポストのビジネスシューズで初めて使って以来、気に入っています。
ロゴあり
ロゴは「あり」を選択しました。MPシリーズでは、「MP WB-1853」と刻印がされます。
ブラウンのヒールブロック
ヒールブロックのレザーの色は指定できなかったのですが、期待どおりにうっすらブラウンに着色されています。
仕上げの荒い部分
左足の内側には、表面に軽く傷がついていて、茶芯が見えている部分があります。ソールの側面を削ったときにおそらく当ててしまったのかなと想像しています。また、コバ部分のウェルトの処理も若干荒くなっています。完璧な仕上がりではないですが、どういう作業をしてこうなったのかを想像したりしていると、愛着が湧いてきます。
シューレース
箱には、レザーとワックス平紐の2種類のシューレースが入っています。どちらも、公式の写真にあるようにシャフトに巻けるぐらいに長いです。
Image: White’s Boots
そこまで長いシューレースは好みではないので、紗乃織靴紐の120cmのものを購入して装着しました。
プリメンテ
クロムエクセルを自然にケアするためのオイルやクリームはないかと思って探したところ、信頼するサフィールノワールからオイルドレザー向けのクリームが販売されていることに気づき、買ってみました。ワックスが使われていないので、自然な表情を維持したまま栄養を与えられるとのことです。
このクリームを使ってプリメンテをした後に写真を撮っていますが、確かにクレム1925を使ったようなツヤはなく、クロムエクセル本来のツヤを維持できそうです。MPシャーマンには、しばらくはこれだけを使っていこうと思います。
カスタマイズ、購入方法
注文はBaker’s Bootsで行いました。ホワイツの公式サイトでも購入できますが、カスタマイズを電話で伝えるように書いてあるので、当時アメリカに住んでいた私でもハードルが高く感じました…。Baker’sはウェブ上で細かく選択できるので、正確で楽です。
サイズ検討
高い買い物なので、サイズに失敗したくなかったために慎重にサイズ検討をしました。アメリカに住んでいたときの方法なので、参考にならない部分もあるかもしれません。
まずは近所のダナーのお店に試着に行きました。(ホワイツもダナーも、同じABCマート傘下です。)
自分に合いそうなUS7がなく、お店にあったUS8だと大きいということだけわかりました。
そこで、Baker’s Bootsの注文時に$40プラスして、US7Dのものを送ってもらい試着することにしました。
2022/10/20にBaker’sに注文して、10/25に試着用のブーツが到着しました。革はシナモン・ワックスト・フレッシュというもので、茶色もかっこいいなぁと思いながら履いています。着用感を電話で伝える必要があり、「長さはUS7で良いものの、甲の部分が締めつけ感がある、締め付けが慣れるかもしれないのでウィズを大きくすべきかわからない」と伝えました。Baker’sの担当者からは、ウェブ上のFOOT MEASURINGのページのMeasurement Sheetを記入して、ブーツを送り返す箱に入れておいてくれれば、シューフィッターがアドバイスするよとの申し出があり、そのようにすることにしました。
実際に記入した紙は記録していないのですが、US7Dを履いたときの左右の感想、普段履いている靴のサイズもコメントとして記入した覚えがあります。これは電話や注文時のコメントで伝えていましたが、アメリカの会社では丁寧な引き継ぎは期待できないので、その紙だけ見て伝わるよう書くことを心がけました。おそらく、このMeasurement Sheetを用いたサイズのアドバイスは日本からの注文でも受けられるのではと思います。
11/23にシューフィッターから、US7EEとする方が良いとのアドバイスがありました。US7EEは試着はしていないので心配はありましたが、プロの意見と信じて、それで作ってもらうことにしました。
その後、日本に帰ることになり送付先の変更をして(送料が$19.95→$89.95となり、$70を追加支払い)、2023/7/27に手元にブーツが届きました。最初の注文から9ヶ月、実際にサイズを確定してからは8ヶ月かかったことになります。
サイズ感は完璧で、甲のあたりもほとんど気になりません。また、今見返すとUS7Dは羽がかなり開いているので、US7EEが合っていたなと改めて思います。Baker’sとは主にメールでやり取りしましたが、レスポンスは早く、安心感がありました。もしまたホワイツをカスタムするとしたら、Baker’sから買いたいと思います。
注文の詳細
冒頭で紹介したものと内容は同じですが、もし同じように注文したい方は参考にされてください。
- Height: 6 inch
- Number of Leathers: Single
- Leather: Black Chromexcel by Horween
- Logo: Yes
- Last: Standard/Barrie
- Hardware: Antique Eyes and Hooks
- Upper Thread Color: Standard/Factory Choice
- Toe Cap: No Thanks
- Celastic Toe Box: No Thanks
- Heel Base: 90 Degree
- Sole: Dainite Sole
- Need Mismate Sizes?: No Thanks
- Sizing Confirmation: I would like to be sent a try-on boot (+$40.00) [ $40.00 ]
- Size – Length: 7
- Size – Width: D (Medium) ⇒ その後、EEに変更。
料金は、
- ブーツ本体:$669.95
- 試着ブーツ:$40.00
- 送料:$89.95
で、合計$799.90でした。
さいごに
ただただ大満足で、すでに宝物です。靴箱には仕舞わずにベッド横に置いていますが、出勤前、帰宅後に撫で回しています。まだ夏真っ盛りなので履いていませんが、最高気温が30℃を切ったら履き始めようと考え中です。エイジングが進めば、レビューをしたいと思います。
追記
コバの色をナチュラルからダークブラウンに塗り替えました。