1年半ほど愛用している、土屋鞄製造所の二つ折り財布「ウルバーノ ジャケットパース」をレビューしたいと思います。シボ好きで、小銭を持ち歩かない方にオススメです!
優しい雰囲気、良い仕事。私が土屋鞄を好きな理由
土屋鞄について語らせてください。
革製品と聞いて思い浮かべるのはコードバンやヌメ革のような、ツルッとした革が多いかと思います。土屋鞄の作る製品にはもちろんそのようなものもありますが、トーンオイルヌメやウルバーノ シリーズのような、表情のある革を多く取り扱っているのが土屋鞄の特徴でしょう。ツルッとした革と違って、シボの大きさやシワの入り方は同じものは1つもありません。買う製品を決めたら、店舗でいくつか在庫を出してもらって見比べて、革の表情にときめいたものを買うのがベストです。どれにしようと悩む時間は、ネットではなく実店舗でしか体験できない楽しい瞬間です。
お店は、ヨーロッパの高級ブランドのような「オシャレなんだけども入りづらい」というようなことはなく、初めてのときでも抵抗なく入れました。スタッフの方の距離感がちょうどよく、積極的に話しかけてくるわけではありません。私は買うまでに何度かお店に行って、本当にそれで良いかを考えつつ、気持ちを高めていくのが好きなのですが、じっくり自分の世界に浸れます。もちろん、こちらから質問をすればエイジングの出方やアフターケアの方法など、いろいろと教えてくれます。スタッフの方が使っているものがあれば、エイジングサンプルとして見せてくれたりもします。落ち着いた内装も相まって心地よい優しい空間で、近くに行ったときには寄りたくなります。
店舗だけでなく、製品からも優しい感じがします。角が尖っていなかったり、ステッチやコバがきれいに仕上がっていたり。革の雰囲気に合わせて製品をデザインして、職人の方も丁寧に仕事をしていることが伝わってきます。
製品の箱の中には、革の特徴やケア、保管方法などが説明されたパンフレットが入っています。プレゼントをする場合や、革の知識がない人が買った場合でも安心です。公式サイトにもお手入れのページがあり、ケア方法が紹介されています。メーカー側の、状態良く長く製品を使ってほしいという思いを感じ取れますね。メーカー推奨のケア方法に従うのが間違いないと思いますので、私もコロニルのクリームなど一通り揃えて手入れしています。
価格は製品の質に対して適正か安いぐらいだと思います。よりブランド化して付加価値を高め、価格をもっと上げても売れると思いますが、良い革に良い仕事をして良い製品を作ることに集中しているように感じます。それも好感が持てるポイントです。
ウルバーノ ジャケットパース
ウルバーノ シリーズではイタリアの「みちっと」した革が使われています。シボがしっかり入っていて表情が豊かなのと、エイジングで色が深まり光沢が出てくるところに惹かれました。適度にオイルが入っているので手触りが良く、いい匂いもします(何の匂いかわかりませんが…)。公式サイトには、
擦り合わせると“キュッ”と心地よい「鳴き声」を上げる
公式サイトより
とありますが、擦り合わせなくても開いたり閉じたりするだけで「キュルッ」と音がします。五感(四感?)で楽しめる革と言うと大げさですが、他のシリーズの革にはない特徴かなと思います。
美しいエイジング
1年半ほど使っていますが、普段はカバンの中が定位置で、たまにズボンの前ポケットに入れている程度なので、そこまで強くエイジングしているわけではありません。今のところクリームは入れずブラシのみの手入れですが(下の写真のみクリーム入れました)、部分的に少し茶色が濃くなって、光沢が出てきています。あまり黒くなるのは好みではないので、今ぐらいがちょうどいい感じです。
カバンから取り出す際に爪で引っかいて傷ができてしまいましたが、徐々に目立たなくなっている気がしています。
傷が薄くなるか実験も兼ねて、コロニルのシュプリームクリーム デラックス(カラーレス)を塗ってみました。土屋鞄のケア方法でも紹介されているクリームです。結果は写真の通り、かなり目立たなくなりました!光に当ててよく見れば傷があることに気づく程度です。ケアすれば傷はなんとかなるので、「傷がつかないように使わなくては」と必要以上に神経質にならなくても良さそうです。
二つ折り財布には珍しい、シュッとした見た目
革そのものに加えてもう1つ気に入っているのが、形です。二つ折り財布にありがちな正方形ではなく、少し縦に細長くシュッとしています。革の質感も相まって、端正な見た目になっています。
カード入れは右側に4箇所、裏側に3箇所あります。右側の4箇所のカード入れには1枚ずつしか入りませんが、裏側の方は複数枚入れることができます。私は合計で9枚のカードを入れています。見た目以上に収納力があります。
札入れは仕切りのないタイプです。お札は一番底まで入ります。レシートも入れやすいです。
土屋鞄のマークは内側に入っているので、使う本人にしかわからないかと思います。この控えめな感じも土屋鞄らしくて良いですが、土屋鞄が好きな人だとマークを見なくても「あの人土屋鞄だ」とすぐわかります…!
小銭入れはほぼ飾り
ジャケットパースの唯一の難点が、小銭入れがめちゃくちゃ使いづらいことです。片マチしかないので、中の小銭をさっと見分けて取り出したり、もらった小銭を入れたりしづらいです。設計段階では箱型の小銭入れの試作品もあっただろうと思いますが、なぜ片マチにしたのか理由が知りたいところです。
私は買う前からほぼほぼ完全キャッシュレスで、小銭は持ち歩かない前提でした。とはいえ小銭が手に入ってしまった場合に備えて小銭入れはあった方がいいと思っていたので、私にとってはちょうど良いサイズ感です。普段の生活で小銭を使う前提の方は、相当使いづらいので要注意です。
さいごに
半分ぐらいは土屋鞄がどれだけ好きかの紹介になってしまいましたが、革の質感にビビッときた方、小銭を使わない方にオススメしたい財布です。楽天にも土屋鞄公式のショップがありますが、実店舗に行ける人はぜひ足を運んで、お店の雰囲気を体感して、革の表情を比較して選んで楽しんでいただきたいです!