通勤用バックパックとして使っている、Black EmberのFORGE-20が本当に気に入っている。MODULAR WATER BOTTLE HOLDERを付けるカスタマイズをして、ギアのように使うのが楽しい。購入から2ヶ月の使用感をレビューしたい。
Black EmberのFORGE-20を選んだ理由
これまで通勤用のバックパックとして、AerのDay Pack 2を使っていたが、構造がしっかりしている分、窮屈なスペースにモノを押し込むような使い心地が若干気になっていた。
Black Emberとは
Black Emberは、防水性のあるバックパックを探していて見つけた。NikeやThe North Faceの元グローバルクリエイティブディレクターが設立したバックパックメーカーである。何を目指している会社なのか、製品購入時に同封されているフライヤーを私なりに訳すと、こんな感じになる。
私達の代表作となる防水バックパックの制作に取り掛かったとき、私達には1つの想いがありました。あなたの毎日に最適なアーバン・トラベル・バックパックを作ること。たとえあなたがどこに行ったとしても。
Black Emberは、都市生活のための革新的なテクニカル・バックパックを設計し開発する、独立したデザイン会社です。世界中で最も先進的な材料と製造技術を使って、あなたの毎日に最適な、高性能なバックパックを作ります。
設計思想のとおり、防水性のある生地がレーザーカットされていて、YKKの止水ジップや、航空機にも使用されるグレードの耐食性の高いアルミ合金が使用されている。正直、これが普段使いにどれだけ意味があるかはわからないが、尖った設計は好きだ。シンプル過ぎない見た目も好みであり、ビジネスシーンでも問題なさそうだ。
FORGEかSHADOWか
Black Emberには、FORGE、SHADOW、CITADELのシリーズがある。FORGEとSHADOWでかなり迷った。SHADOWはありがちなデザインのように思えたので、他のメーカーにはないデザインのFORGEシリーズにすることにした。小分けできるポケットが多そうなことも決め手の1つ。
FORGEかFORGE-20か
FORGEシリーズには、通常のFORGEとFORGE-20の2種類がある。FORGEの容量は20リットルだが、30リットルにまで拡張できる収納が付いている。一方、FORGE-20はその収納が省かれており、容量は18リットルである。
FORGEは大は小を兼ねるが、通勤用なのでそこまでモノを入れるわけではない。また、FORGEと同じような容量のArc’teryxのマンティス26を持っていることから、あえて小さいほうのFORGE-20にすることにした。
FORGE-20の中でも、カスタマイズパーツが追加されたFORGE-20 MAXを選んだ。水筒をカバンの中に入れずに持ち運びたかったので、MODULAR WATER BOTTLE HOLDERも一緒に注文した。
FORGE-20の特徴
FORGE-20の特徴を詳しく見ていこう。
防水性がある
生地に750デニール3層防水コーデュラナイロンとYKKの止水ジッパーが使われており、全面にしっかりと防水性がある。背中と接するバタフライバックパネルを持ち上げた本体側にも、同じ生地が使われている。長時間雨に打たれても、中に水が入る心配はない。バックパネル自体はさすがに防水性はないかと思いきや、ここも撥水性があった。
180度開いて、ポケットが多い
一般的な防水バックパックは、防止性を高めるために、ロールトップ型の中身の出し入れが面倒なものであったり、縫製や接着を少なくしたフラットなデザインが多い。そんな中、FORGE-20はガバっと180度開くことができ、シンプルすぎないデザインになっている。
FORGE-20で初めて180度開くようなバックパックを使ったが、思ったよりも使いやすい。一覧性が高く、奥のほうが暗くてよく見えなかったり、取り出しにくいことはない。ポケットが多いのでモノの定位置を決めて、ストレスなくモノを出し入れできる。
大きいFORGEにしておけば良かったと思うことは、今のところない。通勤前後で急に荷物が増えることが滅多にないことと、仮に増えても車通勤なのでバックパックに入れる必要がないことが大きい。FORGE-20は私のEDC (Everday Carry)が必要十分に収まるので、自分にちょうど合っていると感じる。入れたいモノがノートPCと筆記用具だけではなく、例えばおみやげ用の大きいお菓子のような、持ち運ぶ必要のあるモノが多い方にはFORGEのほうが向いているかと思う。
ノートPCスリーブ
背面側のノートPCスリーブには、15インチまでのノートPCを収納可能。フラップを閉じる部分はマグネット式なので、片手で開け閉めができる。私がこれまで使ったバックパックの中で、最も分厚い保護クッションが使われており、しっかりとPCやタブレットを守ってくれる。ただ、フラップが写真のように白っぽく汚れやすい素材が使われているのは、改善してほしいところ。
合計6つのポケット
前面側になる部分には、
- 大きいポケットが1つ
- 中ぐらいのジッパーポケットが2つ
- 中ぐらいのポケットが2つ
- 大きい隠しジッパーポケットが1つ
の合計6つのポケットが備わっている。
大きいポケットにはノートなど、中ぐらいのポケットにはノートPCの充電器、ジッパ付きポケットには散らばりそうなボールペンの替芯などの小さいモノを入れている。隠しジッパーポケットはアクセスが良くないので、あまり使わないモノを入れるのが良さそう。私はマスクを1枚忍ばせている。
前面ファスナーポケット
前面のジッパーポケットの中には、
- ポケットが3つ
- ベルクロ式の細長いポケットが1つ
- ペン差しが3つ
- マグネット式のキーホルダー
が備わっている。
私がよく使っている、社員証・財布・名刺入れの3点セットをそれぞれのポケットに収められる。
キーホルダーは、これまでのバックパックでは付け外しが面倒なので使ったことはなかったが、FORGE-20のものはマグネット式なので片手で簡単に取り外しができる。カバンの中で鍵にも定位置ができることが意外に便利で、Gカラビナに通して使っている。
ブリーフハンドルで取り回しアップ
FORGE-20はバックパック、ブリーフバッグ、ショルダーバッグの3WAY仕様。普段はバックパックとして使用し、必要なときにブリーフバッグにするような使い方がしっくりくる。ショルダーバックとしては一度も使ったことがない。
ブリーフハンドルは、バックパックを下ろすときにも役に立つ。カバンを体の前まで回してこなくても、このハンドルをつかんでカバンを支えることができる。試しにブリーフハンドルを外して使った日もあったが、側面にハンドルがあることでバックパックの取り回しが良くなることを実感した。
ショルダーストラップを収納できる
背面のバタフライバックパネルには、ショルダーストラップを収納することができる。ブリーフバッグとして使うときに、少しカジュアル感を薄められる。
持ち上げるバタフライ部分には幅広のポケットが付いている。写真では縦長に見えるが、左右全通になっているので、ドラえもんのポケットのような形である。ただ、ジッパーもなく、水も侵入しうる部分なので何も入れていない。
買う前は、バタフライバックパネルの構造によって、背中に当たるクッションが薄くなるのではと心配であった。実際使ってみると、薄すぎることはなく背負心地は悪くない。バタフライバックパネルにより重量増加にはつながっているので、私はこの機能はなくて良いかなと思っている。
スーツケースのハンドルに通せる
背面にはスーツケースのハンドルに通すためのストラップが付いている。頻繁に使うわけではないものの、このちょっとした工夫は出張や旅行のときに効いてくる。
空港でも駅でも、カバンを降ろしたい場面は出てくる。例えば、搭乗ゲート付近のイスに座るときや、電車に乗るとき。ハンドルに通せると、スーツケースの上に置いたカバンが落ちないか気になったり、カバンを膝の上に置いたりしなくて済む。
カバンを買うときにこの機能があるかないかを決め手にする人は少ないと思うが、スーツケースを使うときにあって良かったと思うはず。私はビジネス向けカバンの標準装備にすべきとまで思っている。
カスタマイズで自分専用ギアに
FORGEは別売りのパーツやギアでカスタマイズするのが醍醐味の1つ。私は、
でカスタマイズして、見た目も機能も満足するFORGE-20となった。
FORGE-20 MAX
FORGE-20 MAXは現在はUSサイトのみで取り扱いのある商品である。MAXは、通常のFORGE-20に、
- MAGLOCK COMPRESSION STRAPS(4本のストラップ)
- HANDLE(上部の持ち手)
を追加すると再現できる。
MAGLOCK COMPRESSION STRAPS
4箇所に付けたこのストラップを絞ることで、カバンを薄くすることができる。実際カバンを薄くしたくなる場面はなく、機能面では役に立たないただの飾りである。機能的に意味がないので外してもいいのだが、これがないと見た目が締まらないので付けている。メインのジッパーを開ける際には外す必要があるが、これもマグネット式なので片手で開閉でき、そこまで手間にはならない。
HANDLE & Heroclip
ストラップと違って、ハンドルは機能的に意味がある。もともとカバンに沿うように薄い平紐が付いているが、カバンが重いと持ったときに手に食い込む。平紐は、デザイン的に目立たないようにするためかわからないが、たるまない程度の長さなので隙間が小さく、手を差し込むようにして掴む必要がある。
追加したハンドルは分厚く適度に柔らかいので、重くても手に負担がかかりにくくなる。カバンとハンドルの間に隙間ができるので、手が入れやすくなるのもメリット。側面にブリーフハンドルがあるのでハンドルは必須装備ではないが、縦のラインが強調されて見た目的にもアクセントになる。
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ここに、バッグハンガーのHeroclipを付けている。FORGE-20と同じ黒色でステルス仕様ということにしているが、差し色として紫と金色のものも気になっている。
MODULAR WATER BOTTLE HOLDER
ボトルホルダーは水筒やペットボトルを入れる外付けのオプション。折りたたみ傘を入れるのもあり。500mlのペットボトル程度であればメイン収納の中の、モノが重なっていない隙間にうまく入れれば、パンパンになるもののなんとか収まる。とはいえ、水気があるものはメインに入れないほうが、中身が濡れない防水バックパックの意味があると思っている。
ボトルホルダーは、FORGE-20には2本のストラップに付いているベルクロとスナップボタンで装着する。しっかり付くので、今まで重さで外れたことはない。このストラップは絞って直径を小さくすることができる。背負ったときに水筒が抜け落ちることがなく、出し入れしやすい絞り具合に調整しておくと良い。底面側を気持ち絞り気味にしておくと、ある程度水筒を固定できる。水筒はHydro Flaskの621mlのものを使っている。
イマイチなところ
どんなバックパックもイマイチな部分はあるが、気になるところを紹介したい。
ショルダーストラップを短くすると、たるむ
ショルダーストラップは、本体側に付いているパーツを本体側に寄せていくと短くなる。最も短くしても、180cm/63kgの私でちょうど良いか、若干長いぐらいの長さになる。
さらに短くしようとすると、ストラップをたるませるような調整方法になる。バックパックによくある「プラプラする余ったストラップ」がない構造になっているためである。
他に調整方法があるのかと思って公式サイトを見ていたところ、同じショルダーストラップが使われていると思われるSHADOW 26でもたるんでいる画像があった。やはりこれが正しい方法のようだ。
たるませると荷重を1本のストラップで受け持つことになるし、見た目もスマートでない。デザイナーはあえて「ストラップ・プラプラ方式」を選ばなかったと考えたほうが自然だが、機能が犠牲になっていると感じる。
私(180cm/63kg)よりも体格が控えめな方は、適切なストラップ長にするにはたるませる必要がありそう、ということは買う前に知っておいたほうが良いのではと思う。
少し重い(18Lで1.5kg)
デフォルトのFORGE-20の重さを体重計で量ったところ、1.5kg。若干誤差はあるはずだが、18Lの容量に対して軽くないのは間違いない。FORGEは1.8kgだそうなので、それに比べると少し軽い。
生地に防水性があったり、ショルダーストラップが収納できるような多機能であるため、ある程度重くなってしまうのは仕方がないと思っている。ちなみに、私がカスタマイズした後の重さは、1.7kg。数字ほど重くは感じていない。
生地が汚れやすい
防水コーデュラナイロンの特性と思われるが、毛やティッシュのカスのような繊維系の汚れが付きやすい。白っぽい汚れが付いているのも見かける。手で払えば落ちるので、私はそこまで気にしていないが、人によっては気になるかもしれない。
さいごに
FORGE-20はバックパックとブリーフバッグを切り替えられる構造にクセがあるので、使う人を選ぶのではと思っている。デザインに惹かれた人には、防水にもかかわらず180度開くために一覧性が高く、カスタマイズして自分好みにできるギア感がおもしろいので、ぜひオススメしたい。